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ブレーメンの音楽隊 〜ストーリー〜
1

昔、とても働き者のロバがいました。毎日、重い袋を粉引き小屋へ運んで一生懸命働いていました。けれども、だんだん歳をとって、仕事が思うように出来なくなってしまいました。
「この役立たず、出て行け」
ご主人に追い出されたロバには行くあてなどありません。
そこで、ブレーメンという町にむかって歩いていきました。
その町の音楽隊に入れてもらえるかもしれないと思ったからです。
しばらく歩いて行くと、道にうずくまっているイヌに出会いました。
「こんなとこでどうしたんだね」
「なあに、おれは歳をとって、もう狩りが出来ないようになったのさ。それで、ご主人は、もう俺なんか要らなくなったってわけさ」
「わしと一緒さ。それならブレーメンに行って音楽隊に入らないかい」
ロバにそう言われて、イヌもブレーメンに行くことにしました。

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2

しばらく行くと、今度はびしょ濡れのネコに出会いました。
「おやおや、いったいどうしたんだね」
ロバが訊ねると、ネコは言いました。
「どうしたもこうしたも、うちのおかみさんときたら、歳とってネズミを捕れなくなったあたしを、川に投げ込むんだよ。まったくひどいもんだよ」
「帰るところが無いのなら、わしらと一緒にブレーメンへ行かないかい」
そこで、ネコも一緒に行くことにしました。三びきが、一軒の農家の前を通りかかると、オンドリが声を張り上げて鳴いています。ロバが訊ねました。
「おやおや、朝でもないのにいったいどうしたと言うんだい」
「わしは、歳とって朝早く起きられなくなってきた。だから、明日はスープにされるってわけさ」
「これが、最後のひと鳴きだ。おまえさん達もよく聴いておくれ、コケコッコー!」
「なんていい声なんだ。わし達と一緒にブレーメンへ行こうじゃないか。一緒に歌えば、すばらしい音楽が出来るぞ」
こうして、オンドリも一緒に行くことになりました。

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3
ブレーメンへの道のりは、まだまだ遠いので、その夜は森の中で眠ることにしました。ロバとイヌは、木の下で、ネコとオンドリは木の上で。ところが、木のてっぺんに上がったオンドリは、遠くに家の明かりを見つけました。
「あそこに家の明かりがあるよ」
それを聞いたみんなは、明かりを目指して歩き始めました。
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4
やっと、明かりの灯る家へたどり着くと、一番背の高いロバが、窓から家の中を覗き込みました。中では、どろぼう達がご馳走を食べながら、金貨を分けています。
「何が見えるんだい」
イヌが訊ねると、ロバは中の様子を話しました。
「わし達も、そのご馳走をいただきたいもんだ」
オンドリがそう言うと、みんなはどろぼうを追い出すための相談を始めました。そして、とてもいい方法を思いついたのです。ロバが、窓枠に足をかけます。ロバの背中にイヌが乗ります。イヌの上にネコがよじ登ります。最後にネコの頭にオンドリが飛び乗ります。そして、みんな一斉に鳴きました。
「いっせーのーでー、ヒンヒン!ワンワン!ニャーゴ!コケコッコー!」
その声の大きいことと言ったらありません。それから四ひきは、窓を割って、家の中へと飛び込みました。どろぼう達は、化け物が出たと思い込み、一目散に森へと逃げ込んでしまいました。それで、四ひきは、ご馳走をお腹いっぱい食べることが出来ました。
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5

お腹が膨らんで眠くなったみんなは、自分が一番気持ちよく眠れる場所を探しました。ロバは庭のわらの上。イヌは戸の後ろ。ネコは灰の残った暖炉のそば。オンドリは屋根の上。疲れていたみんなは、すぐにぐっすりと眠ってしまいました。そのころ森の中では・・・・・・。
「なにも、あんなに大騒ぎをして、飛び出して来ることはなかったんだ。誰かもう一度、様子を見て来い」
かしらにそう言われた子分は、仕方なく家の様子を見に行きました。家は、ひっそりと静まり返って、物音ひとつしません。そこでどろぼうは、台所に入って、マッチで明かりをつけようとしました。

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6
「なんだ、まだ火が残っていやがる」
光っているネコの目を残り火と間違えて、マッチを押し付けたから、さあ大変です。怒ったネコは唸り声を上げてどろぼうに跳びかかると鋭い爪で顔じゅうを引っかきました。
「助けてくれ!!」
逃げ出そうと戸口に向かったどろぼうに今度はイヌが噛みつきました。どろぼうは慌てて庭へ飛び出しました。すると、今度はわらの上に寝ていたロバが、後ろ足で思いっきりどろぼうを蹴飛ばしました。この騒ぎで、目を覚ましたオンドリは、屋根の上で元気よく鳴きました。
「コケコッコー!!」
この声に、驚いて、大慌てでおかしらのところまでたどり着いた子分は、こう言いました。
「お、おかしら大変です。あの家には、恐ろしい魔女が住んでいますぜ。そいつは、俺の顔を鋭い爪で引っかきやがったんだ。それに戸口には恐ろしい男がいて、ナイフで俺の足を刺しやがった。それからまだまだありますぜ。庭には怪物がいて、そいつが長い棒で俺のことを思いっきり殴りつけたんだ。最後には、屋根の上の裁判官が、逃げようとする俺に向かって、『どろぼうをここに連れて来い』なんて叫ぶのさ。もう、こりごりだ。かしら、今すぐ、逃げましょうや」
この話を聞いた仲間のどろぼう達は、急いで森から逃げ出しました。そして、二度とその家に帰って来ることはありませんでした。
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7
四ひきの動物達は、その家がすっかり気に入ってしまい、ブレーメンには行かずに楽しい音楽を奏でながらいつまでも、仲良く幸せに暮らしました。



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